以前紹介したことのある本だけど。
以前紹介した事があるんだけど、本っていってもマンガで、黒丸[原案]夏原武の「クロサギ」で感銘を受けたエピソードがあるんです。
以前紹介したのは14巻で、
「誰にでも自分だけは特別だって思っている時期があって、そういう時期はあって当然だけど、本当に特別な人間っていうのは少なくて、意外とそれは自分じゃなかったりする。」
という内容のものだったと思います。
それを読んだ時の僕の衝撃ときたらもう。そこそこ年齢いってたはずなのに、もう何か恥ずかしくて仕方が無かった。
少し前の自分が言われているようだったから。
で、今回紹介するのは10巻です。
10巻ではヒロインの子のお父さんが詐欺に手を掛けていて、それを「クロサギ」が喰うのだけれど、その後、ヒロインは主人公に
自分達家族が父親に対して甘かったせいで、父親はああなってしまった、だから今後は父親と連絡をとるのは止めようと思うと告げていた。
主人公の一家は主人公が中学生の時、父親がフランチャイズ詐欺に遭って、一家心中をしてしまった。その生き残りが主人公だったが、その主人公がヒロインに対していった言葉なのですが。
「小さい頃はまだましだったんだけど、オレが12・3歳ぐらいのときにはいろいろ壊れてきててさ、ケンカは日常茶飯事だし、とにかくうまくいってなくてさ、当然オレは家が嫌いだったわけ。
でも、何て言うか、オレは『きっといつまでもこのままじゃない』って思ってた…
いつか何か変わるはずだ、と
いがみ合ってる家族でも、離れて暮らしてたまに会う程度にすれば、あまりケンカもしなくなるだろ?
だから例えばおれは一人暮らしをしたっていい…離れて暮らせば、きっともう少し相手がよく見えるだろうし、こっちがもうちょっと大人になって、親たちがもうちょっとトシを食ったら、何かが変わるんじゃないかって…おれはそう思ってた…
…だけど…『終わり』なんてものは、例え望んでいなくても、いつか必ず来るものなんだ…
あっけないほど突然にな。
だから、そのときが来るまでは、自分の方からムリヤリ『終わらせる』必要は――ないんじゃないかって思うんだよね。」
というシーンです。意外に文字が多くてびっくりですが。
このシーンで主人公の後悔の思いが伝わってくるんですよ。そして、柄にもないというか、何と言うか、ヒロインをほとんど慰めたりはしないんだけど、この回はヒロインの子をこうして慰めているんですよね。
その優しさをヒロインも感じ取っている様子だった。
この「クロサギ」という話は、テーマが恋愛にないから、この先も恐らくヒロインと主人公がそういう関係になる事はないんだろうとは思います、進展はするかもしれませんが。
僕ん家もそんなにいい家族環境ではない、主人公と同じように
「いつか、僕が大人になったら、オトンが怒っている理由もわかるだろうし、オカンの行動の意味も分かるだろうし、家ももっと良くなるはず。」
と考えたものでした。でも、良くなるどころか、理想とはどんどんかけ離れていく。
大人になって余計に悪いところしか目が行かなくなってしまった。
でも、家族だから、彼らと同じ血が自分にもながれているのだからと。
主人公とは違い、父親が一家心中なんてする事は無かったですが、オヤジは今でも健在で、稼いできた金は全部博打に使ってしまう。
いつか終わってしまうが、既に終わっているんだと思う。
でも、無理にこちらから終わらせる必要もない。
そういうもんなんだろうな、家族って。と思わせる文章でした。
だから感銘をうけたのです。
この「クロサギ」ですが、本当に多くの言葉を残しています。新クロサギになってあんまり読んでないんですが、これを期に読んでみようと思いました。
もしよろしければ、読んでみてください。
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