« すっころんだらしい… | トップページ | あなどれんぞインソール… »

2013年1月 7日 (月)

そのむかし…

僕の家には、僕が生まれてから少しして、一匹のにゃんこが住み着くようになりました。

すごく賢い猫で、オスなのにしっかり狩りもするし、粗相をすることも無かったのです。

何よりも赤ん坊だった僕といる事が好きだったみたいで、僕と一緒に寝たり、おもちゃにされたりして一緒の時間を過ごしたみたいです。

僕はそんなに覚えていないのですが。

黒と黄土色のトラ模様の猫で、とてもフカフカで暖かかったイメージがあります。

トラは僕が好きだったらしく、よだれで毛を塗らされても耳をつかまれても、髭を引っ張られても逃げたりしないで、ずっと僕の傍にいたそうです。

言われてみればトラが僕に怒ったイメージは無いな…

トラは大人がそれ程好きではないらしく、特にじいちゃんには警戒しているように感じました。

ばあちゃんはそれ程でもないみたいでしたが、ばあちゃんはその時はあまり猫は好きでは無かったみたいです。今は猫好きですけど…

トラは僕があげる餌は手から食べました。

弟ができてもトラは僕と一緒に居ました。時々は弟の所で寝ていましたが。

トラは子供が好きだったんだろうと思います。

そんな賢いトラも僕が5歳になる頃にはほとんど家に居なくなりました。

そうです、僕の家に来た時から大人の猫だったトラに、いよいよ時間が無くなってきていたのでした。

僕が5歳になった冬、台所が新しくなりました。

それまで、炊事部屋があって、その古い引き戸の入り口から勝手に出入りしていたのに、トラの出入り口が無くなりました。それまで地続きだったのが一段高くなりました。

トラは賢かったので、絶対に玄関の方からは入りませんでした。

裏口の炊事部屋の方からしか入ってきませんでした。出る時はどこからでも出てましたが…

炊事部屋が台所になって、ますますトラは帰ってこなくなりました。

ある日、外でやたらトラが鳴いていました。ばあちゃんはうるさいと思い、そのまま追い払いました。

寒い冬でした。

その日からトラは帰ってきませんでした。

それから二週間後、2km程離れた下の方の家の納屋の藁の中で固くなってるトラが発見されたそうです。

僕はまだその時、トラがどうなったのか、全く理解できていませんでした。

何年かして、ふと野良猫を見た時に、

『そうか、トラはあの時に最後に会いに来てくれたんだな…』と思うと、悲しくて切なくて涙が出ました。

ばあちゃんが追い払った時、僕はもう既に眠っていたし、一緒に寝る事も少なくなっていたので、トラという存在が、どこか遠くに行ってしまっているだけで、またひょっこりと顔を出すような気がしていたのですが…

あんな遠くで藁の中で、孤独に命を引き取って行ったトラが可愛そうで、トラは僕を大切にしてくれたのに、僕はトラを当たり前の存在としてしか見ていませんでした。

僕が猫が好きなのはトラがいたからだし、トラのおかげだったりします。

昔の写真でトラと赤ちゃんの僕が写っている写真があったんだけど、今見ると、トラは僕の傍でまんざらでもない顔で横たわって写っています。しかも結構そういう写真が多い。

本当にいい猫だったんだなあ…

アレルギーさえ無けりゃもっと猫に近づけるのになあ…

« すっころんだらしい… | トップページ | あなどれんぞインソール… »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: そのむかし…:

« すっころんだらしい… | トップページ | あなどれんぞインソール… »