今にして思う「鋼の…」の最初のやつ
『鋼●錬金術師』の、原作がまだ序盤の頃にやってたアニメの方の話ですが、その話の中に『ホムンクルス』というのが出て来ます。
まず話は、主人公たち兄弟が、母を亡くした悲しみから、錬金術を使ってお母さんを生き返らせようとする所から始まります。
主人公たちは「禁忌」とされている『人体錬成』というものに、子供ながらに手を出してしまったという事です。
失った命は戻らない…そんな当たり前の事を教えてあげられる大人が、彼らの周りには居なかったのでしょう…それこそが、彼らの不幸だったろうと思います。
そして、彼らは、禁忌がなぜ禁忌なのかという事を身を持って体験することになります。
弟は全部を、兄は左足を持って行かれてしまいます。
兄は自分の右腕と引き換えに、弟の魂を呼び戻すことに成功し、魂をその辺にあった鎧に定着させました。
彼らは、たった一回の『人体錬成』で、兄は右腕と右足弟は体全部を失ってしまいました。
そして、得たものは…母親でもなんでもない、命があるのかどうかさえ分からないよく分からないエグイ生命体でした…
そしてそれは、しばらくして息絶えた…という。
つまり、彼らが多くの犠牲を払って得たものは、絶望と後悔。そして、失った命は戻らないという教訓。
その中から、彼らは…兄は弟の体を取り戻すために。弟は兄の体を元に戻すために『賢者の石』を求めて、冒険に出ます。
彼らが、『賢者の石』を求めて動いている間、敵対する勢力の一つに、『ホムンクルス』という存在が出て来ます。
彼らは何でも食べてしまう胃袋を持っていたり。最強の盾と言われる鋼鉄の体を持っていたり。最強の矛と言われる爪を持っていたり。どんな者にも変身できる能力を持った奴がいたりと、多種多様ですが…
どうもそれは、かつて錬金術師たちが、禁忌を犯して、人体錬成をして作ってしまった、出来損ない。「人ならざる人」である事が判明します。
つまり、主人公達の作った構築式では、あるものが足らず、失敗作として、作られてしまった人造人間。である事が判明するのです。
そのあるものは、ホムンクルスが後からエネルギーとしてバリボリと食べて人と同じ形を保つことができる様になります。
そのあるものこそが「賢者の石」だったりします…
ホムンクルスは、人間になるために「賢者の石」を欲するが、自分たちは知識があっても錬金術は使えない。
人間は知識はないが錬金術は使える。使えるが賢者の石は作れない。ホムンクルスは使えないが作り方を知っている。この両者が、対立しながら、時に利用し、利用されながら物語は進んでいきます。
人ならざる人、人造人間であるホムンクルスは、人間になりたいという願いの為に、多くの人間を犠牲にする。
だから悪とされているけど。彼らもまた生きるためには仕方のない事なのかもしれません。だって彼らの力の源となってるのは、「賢者の石」で、その賢者の石の作り方は、人間の魂を錬成したものだからです。
主人公たちは人間だから、その事に憤り、賢者の石によって自分たちを元の体に戻すことを、かなりの葛藤の中諦めます。
そして、ホムンクルス達は、結局悪者として、退治されてしまいます。
自分たちの都合で作って置いて、気に入らないから殺すというのは、何とも、恐ろしい構図です。
彼らは生まれた瞬間に殺される運命にある事になります。
つまり、主人公たちが背負う罪は、『死者を冒涜した事』以外に『殺さなくてはいけない命をこの世に生み出してしまった事』にあります。
殺すのも罪ですが、生み出してしまったのもまた罪です。
だから彼らは咎人として、全身鎧の体、右手左足が機械の手足を引きずって旅に出るのかもしれませんね…。
自分たちの体を元に戻す事と、罪を償う為に…
この記事へのコメントは終了しました。
コメント