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2014年2月 1日 (土)

川の主

昔、一つ下の友達と、その家族と、近所の友人たちで、鴨池に遊びに行った事がありました。(これは、以前にも記事にしたことがあるのですが、思い出したので、また書きます。)

僕は、鴨池に行くと決まってから参加することになったので、どういう経緯で鴨池に行くことになったかは分かりませんでしたが。

小学生だった当時、鴨池は遠く、それ程足を運ぶことができない場所でしたので、釣りに興味のある年頃だったこともあって、自分もついて行きました。

鴨池には、鴨もいたけど、数羽で、別に鴨に餌をやるのが目的では無くて、友人家族は釣りをしていたように思います。

そんな事はさておき、自分たちはというと、釣り道具もないし、やる事と言えば、川に入って遊ぶことぐらいでした。

季節はよく覚えてないですが、これから暑くなる頃だったと思います。

鴨池の駐車場(?)につく直前、川で大きな魚の腹が光ったのを見ました。

『うお!この池、すげーでかい魚がおる!』というのが感想で、川に主がいたりとか、そういう制度的なものがあるとは知らず…

ただでかい魚がいたという事が興奮を呼んでいました。

しばらく、魚を追う感じで川でバシャバシャやっていましたが、今思えば、迷惑な話ですよね、釣りに来てる傍らで川に入って騒いだら、釣りも何もあったもんじゃありません。

今にして思う事ですが、当時はそんな事お構いなしで…ガキだから仕方がないのだろうけど、恥ずかしい限りの事です。昔から迷惑ばかりかける人間だったのです。

道具も無い僕らはそのまま川で遊んでいましたが、その川には藻のようなもの…まあ水草ですが、それが生えていて…それこそ茂っている部分があちこちにありました。

水草を水槽に入れると、あの『ぶくぶく』が無くても、魚は生きて行けるとかいう話を友人がしていたので、僕はそれを持って帰りたかったのですがだからと言ってよその家の車で…という訳にはいかなかったので、何か袋でもあればなあ…と思っていました。

足で水草を分けようとしていたら…

足の裏に軽く触るものがありました。フクラハギにもかたいものが触れる感じがします。

僕はピンときました。

『これは…さっき僕が車の中から見たあのでかい魚ではないか?』そう思うや否や…

「なあ、誰か袋ちょうだい!ここにでかいのがおる!」

と言って、渡されたのが、スーパーの大き目の袋です。

それを思い切って、水草ごとガバ!!とすくいました。

とたんに袋の中でビチビチビチ!!と動き回る感じがして、水がハネて顔にもずいぶんかかりました。が、袋の上面をしっかりくくったらおとなしくなりました。

その時は、自分がすごい偉業を達成したように思っていました。

本来であれば釣るべき大きな魚を、自分はこの手で捕まえたのだと、嬉しくなりました。嬉しいついでに、それを見せびらかしたく思い持って帰る事にしました。

友人のお母さんは

「そういう大きな魚は主やから止めた方がいい。」と言っていましたが。友人のお父さんは「まあ別にええがいや、持って帰りたいんやったらもってかえらせたったら…」

その時は『おお!お父さん話が分かる!』と思いましたが…

家に持って帰ってから、ひとしきり弟や妹祖父や祖母に自慢しましたが、そうしているうちに飽きてきて…

それに、その大きな魚を入れておくだけの水槽などうちにはなく、仕方がないのでタライに入れておくことにしましたが…

それでも魚の背びれは確実に突き出てたし、どうみてもエラがかろうじて水に浸かってる状態で、そのタライも溢れそうでした。

そんな状態で2~3日経過した頃、その魚は跳ねたらしく自転車の脇に転がっていました…当然帰った時には死んでいました。

その大きな魚の死骸を目にして、自分は実はものすごく恐ろしい事をしてしまったのではないかと思いました。

『こんな事なら逃がしてあげればよかった…』後悔とは先に立たないものです。

鴨池の脇の川でなくても、自分ちの下の川でもよかった。むしろそっちの方が流水もあったし、いつでも見る事が出来たし、おそらくは餌もあったでしょう。

自分の故郷からはるかに離され、あまつさえ、体さえおさまらないタライに入れられ、餌も与えられず、最後にはエラ呼吸もままならず死んでいった魚に…

申し訳ないと思うどころか、どうやって謝ったらいいかが分かりませんでした。

そして、自分のとった行動は…

『下の川に流す』でした。それも、ゆっくり優しく流してあげればいいものを、できれば…文字通り水を得た魚のように動き出してほしくて、

ドブン!と放り投げました。

一旦沈んだその大きな体はしばらくして浮いてきましたが、浮きながら下流へと流れて行っていました。

そんな終わり方だったから、余計に怖くなって…じいちゃんとばあちゃんに相談しました。

じいちゃんは「そんなもん猫か犬かが食うさかいに気にすんな」と言いました。ばあちゃんは「焼いて食べれたのに何で捨てたんや」と言っていました。

ばあちゃんは本気で食べる気だったみたいです。でも今にして思えば、それが魚にできる最大の供養のようにも思えました。

それでもあんなでかい、川の主的な魚をどうやって食べるというのか…

まあそれは置いといて…

今でも事ある毎にそれを思い出しては、後悔したりしています。

もしかしたら祟られているのかもしれませんし、そうあっても仕方のない事だろうとは思います。

どうせ殺してしまうのであれば、初めから持って帰って来なければ良かったのです。

甘いと優しいは違う、そして、先々の事を考えて行動しないからあんな可哀そうな事になる。少年の自分には十分すぎる程の後悔でした。

戻れるなら自分を静止してあげたいですね…

まあそれが後悔というものですが。

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