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2014年3月18日 (火)

後輩と…

後輩と言っても、歳は二つしか違わないので、もうこの年齢になると、それ程経験の差は無いのですが、まあ、部活動の中での先輩後輩は、やっぱり縦社会で…

そういう中で生きてきたから、やっぱり僕も、気にしないという訳でもなく、先輩ぶってしまうのですが…

二連休の初日だったので、久々に、外に飲みに行くことにしました。それに、かねてよりの約束を果たすと言う意味で、せっかくだから、後輩と二人で飲むことにしました。

当然、田舎にいる僕が出向く事になるのですが…電車で。駅の途中からは、後輩の奥さんが送ってくれました。

場所は垂水です。

別段、可愛がっていた後輩でもない、と思うし、向こうもそんなに僕を慕ってくれていたとも記憶していないんですが…

それでも

「Fさん、今度一緒に飲みに行きましょうよ。」

「いいけど、僕となんか飲みに行っても楽しないで?」

「絶対っすよ!そう言ってうやむやとか無しっすからね!」

「ああ、だからOKやって!」と以前から誘ってくれていました。

僕と飲んで何が楽しいのか分かりませんが、それでも誘ってくれるのは嬉しいもので、部活動を引退して、大学を卒業してから、柔道部とは疎遠にしているので、後輩と会うのも久しぶりです。

とはいえ、彼も、警察では、割と苦労してて、他の部員達とも、それ程仲良くもやっていないという。

警察っていうのも色々あるんだろう。

「それでFさんは何で結婚しないんですか?」

「何で一発目がそれやねん!他にももっと話題あるやろ?」

「いや、これから話する前振りですよ。」

「ああ、そうなんか。でも僕なんかの事聞いてもおもんないから。君が話したい事直接話したらいいやん。」

「Fさんってなんかいっつもそうですよね。何で自分の事話したがらないんですか?」

「何でって、おもんないって心底思ってるからやろ?」

「いやいやいや、自分の話で盛り上がるのっておもろいっすよ?」

「面白いやろな。」

「じゃあ話して下さいよ、その辺分からないんですよね。」

「だから、話すほどおもろい話なんかないんやって。酒のつまみにもならんわ。そんな事はいいから、君の持ってきた話を聞かせてーな。」

「いいすけど…オレ、去年結婚したんすよ。」

「ああ、U介から聞いてるで。ガチガチやったって。」

「O田さんと連絡取ってるんすか?」

「そりゃな、同期やし。それで?」

「こないだ子供生まれたッス!」

「ああ、そうかおめでとう!そんならお祝いしたらんなんな。」

「いや、いいすよ、もう結構経つんで。」

「何それ、去年結婚したのにもう結構経つん?」

「そういう事っす。」

「お前順序守れよ!公務員ねんから。」

「公務員関係無いッス。つーかできちゃった婚です。」

「言わんでええわ、『そういう事』だけで分かってるわ。でもまあ、君らしいと言えばらしいけども。それで?」

「それで、可愛いから抱っこしたりしてたんすけどね。オレ普通に抱っこしてるだけやのに、脱臼とかさせてたらしくて、もう抱っこするなって事になってるんすけど…」

「赤ちゃんの関節は弱いからな、変な方じゃなくても外れやすいもんな。君の力で何かしたんちゃうん?」

「記憶にないんスけどね…。」

「雑に扱ったとか?」

「いや、わかんないですけど、嫁には言われますね、赤ちゃんが死んでまうから止めろ!って」

「え!?止めろとか言われるん?」

「はい!もう結構殺意感じるぐらいに。」

「そ…それは。ちょっとどうしようもなくないか?」

「ちなみに脱臼は3回ぐらいさせたっす。いや、2回あって、3回目は病院行ったら治ってたっすけど。」

「…抱っこの仕方が悪くないか?」

「それ嫁にも言われたんすけど、見てもらったけど、異常なかったんすよね。オレん時に赤ちゃんが自分で外してるとしか考えられないっす。」

「ハハハ、何がやねん。」「こう、フンッ!って感じで。」「ハハハ、んな訳ないし。」

「いやー…でもそんなん考える程原因分からないんですよねー。」

「ちょっと待て、その相談!?そんなん僕に言われて分かる訳ないやろ?」

「いや、相談っていうか、聞いてもらおうと思って。」

「ああ、なるほど。それで、赤ちゃんには触れるな!って事になってる訳やな?」

「はい、寝てる時につんつんするぐらいです。」

「それは切ないな。」

「本当はおぼっちゃま君みたいにベロベロしたいぐらいですけど。」

「ハハハ、それは止めとけ、変な人や。」

「いやでもホンマにギューっと抱きしめたくなるぐらい可愛いっすよ。」

「君まさか…」

「ホンマにはやってないっすよ。だってオレの力でやったら赤ちゃん潰れますよ。」

「そりゃそうやな。それぐらい可愛いって事やろ?」

「そうっす!先輩らの代ってみんな普通の人でしょ?そういうの分かりませんかね?」

「はあ?君も普通の人やろ?それ現役の時も言ってたな君。」

「だってオレらの代ってでかいじゃないっすか基本、一番小さいのでオレっすけど、おれも警察意外やと絶対浮きますからね。サラリーマンとか無理っすよ。」

「…ガタイのいいサラリーマンでいいやろ。別に。」

「いや、そこは、Fさんとかぐらいまでですよ。Fさんとかいいすよね。O田さんとかは大学から始めたからあれですけど、Fさんそこそこ強いのに、普通の体型ですもん、ずるいっすわ。」

「それ君以前も言ってたな。そういう価値観おかしいと思うぞ。」

「だってオレら柔道のために体作ってますからね。柔道してないと意味ないッスから。」

「まあ、それはそうかもしらんけど、君はそれでもええとこ就職してるやんか。役にも立ってるんやろその体。」

「それもっす」「え?」

「体張るしかできないんすよね。オレ頭悪いっすから。あとはここしかねえ!って感じで必死こいて勉強しましたけど。みんな普通に通ってる試験とかもオレだけ再試やったりしますし…」

「…えと、それは、まあ頑張れ!」

「はい…それしかないっすけどね。」

「何なん?僕からしてみたら、公務員やし、よーさん給料もろてるやろ?嫁さんももろて、可愛い子供もおる。寮だって広くなったんやろ?そんなんめっちゃ充実してるんとちゃうんか。って思うでな?僕らなんて、必死で働いても、君らには遠く及ばんぐらいしかもらってないんやし。大分いろいろなってきたけど、それでもまだ公務員の優位性は変わらんぞ?サラリーマンに比べて。」

「オレら公務員は公務員ですけど、役所の人間とは違いますし、職員でもないんで、どうしてもそういうのと比べると、損してる感じありますよ。」

「そんなのはサラリーマンだってあるよ。」

「そうなんすか?でも実力があったら上がれるんとちゃうんすか?」

「そりゃそういうところもあるけどな。現実はもっと厳しいで。原理原則よりも、上の顔色を伺って仕事する奴の方が出世はする。上に逆らえば、出世は望めない。そういうところやで、一般企業っていうのは。」

「じゃあ上のいう事さえ聞いてたら出世するんすか?」

「全部が全部そうではないけど、まあそういう事やな。上にええ顔してれば、実績がどうあれ、可愛がられるって訳や。」

「それって公務員より楽ちゃうんすか?オレらも上には逆らえないっすよ。」

「あのな、サラリーマンは会社の為に動いてるからな。会社の為に効果が期待できない事をやれと言われて、他にもっとやるべき事があるのに放っておいて期待できない事なんてやってられるか?あほらしくてでけへんやろ?だから反発するんやんか。君らはあんまり分からんやろけど、人を動かすにもお金はいるんやからな。費用対効果や。無駄な事には使いたくない。誰もがそう思うもんやろ?一般企業は利益を上げてなんぼなんやから尚更や。」

「まあそうっすね。」

「だから、人を動かすには、じっくり考えて命令をださなあかん。末端に行けばいくほど、より現場に適した判断が必要になってくる。こうなると目的と手段と結果や。結果さえ出せば、本来は手段なんてどうでもいいハズなんや。そやけど、会社はそうはいかん。いかにそれが劣ってようが、古かろうが、上が言う事に従って結果を出さなあかんねや。」

「上にばれへんかったらええんちゃうんすか?」

「それが大人の判断や。そやけど上が来た時はええ顔しとらなあかんでな?」

「…やっぱり公務員の方が楽かもしれませんね…」

「利益云々の事については、一般企業は付いて回る事やからな。そういう面では楽にみえるかもしれへんな。」

「そういやFさんってなんで今の仕事してるんですか?」

「いろいろあってや。」

「またそれ?」

「またって何?」

「おもろないとか言うやつでしょ?」

「まあ、そうやな、今の会社に入った理由なんて酒がまずくなりすぎるから言いたくない。こんなの酒の席で言う事やないわ。」

「そういうのばっかやないですか。ええ加減話してくださいよ。」

「まあまあ、話したい時もあるから、そのうち話したるわ。」

「それほんまに話してくれるんかな?」

「話す話す、タイミングとか気分の問題や。」

という話をしました。

他にも、現役の時の話とか、いろいろしましたが。これが一番印象的な話でした。

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